【女性アスリート・トレーナー必見!】栄養学から紐解く月経と減量
こんにちは!GAP東京の松井です。
5月23日に女性限定で行われた「女性アスリートのための栄養学〜栄養学から紐解く月経と減量について〜」で当日どんなことを学んだかご紹介します。
講師紹介
金井麻由美
・スポーツ専門の管理栄養士
・陸上長距離実業団チームの栄養サポート
・車椅子テニス選手のパーソナルサポート
スポーツの現場をメインにフリーで活動する管理栄養士。
陸上長距離の実業団チームの海外・国内合宿食事提供のサポート、アスリートへの個別栄養指導・集団栄養指導、車椅子テニス選手の大会遠征サポート・栄養指導など、アスリートの管理栄養士として幅広く活躍をしている。
1.女性アスリートの特徴と健康障害
みなさんはFATをご存知ですか?
FATとは、女性アスリートの三主徴のことを言い、利用可能エネルギー不足・骨粗鬆症・無月経を指します。
そして、この三主徴は相互に関係しています。
利用可能エネルギー不足になると低体重・低栄養状態を起こし骨粗鬆症に繋がり、脳からのホルモン分泌も低下し無月経になることがあります。さらに、無月経になると、骨代謝の調節を行なっているエストロゲン分泌が低下し、骨粗鬆症に繋がることがあります。
FATの中の一つ、無月経には利用可能エネルギー不足だけでなく、
・体重減少
・オーバートレーニング
・ストレス
が関わり発生することが多くあります。
上記のいずれかが原因となり、その結果視床下部のホルモンコントロール機能が低下し、卵巣機能の低下に繋がり、無月経が発生します。
(出典:https://jp.sofygirls.com/ja/sports/family.html)
女性アスリートの方の中には無月経の方がスポーツを行う上で楽だと考えている方がいます。
しかし、無月経の状態だと
・トレーニング後の成長ホルモン、運動時のアドレナリン・ノルアドレナリンの分泌減少
・エストロゲンの分泌低下による骨密度の低下
が起こり、パフォーマンス向上に繋がらないため無月経が楽という考えは危険です。
2.女性アスリートのコンディション管理
女性アスリートの三主徵を起こさないためには、女性の月経周期を理解し、その周期に合わせたサポートを行うことが大切です。周期によって身体の状態も変化するのでチェックしていきましょう!
①月経中:下腹部痛・吐き気・下腹部膨満感・むくみ・肌荒れなど
②卵胞期
③排卵期:下腹部痛・出血・頭痛など
④黄体期:むくみ・イライラ・腰痛・体重増加・食欲亢進など
月経周期は4つに分けられ、それぞれ上記のような症状が出てきます。
月経終了後の1〜2週間は卵胞期の時期になります。
この時期は、1番コンディションが良い状態になり、体重も落ちやすい時期になります。そのため、体重を落とさなければいけない時は、卵胞期に食事やトレーニングを調節し、どのように減量するか考えることが大切です!
また、黄体期ではむくみや食欲亢進により体重が増加することがあります。
この時期の体重増加は当たり前のことですが、女性アスリートの中には体重増加がストレスに感じる方もいると思います。その際は、体重が落ちにくく、1〜2㎏増加して当たり前であることを選手に伝え、安心して競技に集中できるようにメンタルケアを行いながら食事をサポートしていきます。
このような選手の状態を把握するためには毎日体温を測り、基礎体温の変化をこまめにチェックしましょう!そして、毎日の状態を記録し目でわかるようにします。
そうすることによって、私たちトレーナーが選手の身体の状態や変化を把握するだけでなく、選手自身が自分の身体を知り、理解することに繋がります。
(出典:女性アスリートの教科書)
症状が出てからではなく、出る前に食事の面から予防をしましょう!
3.コンディションを整えるための食事のポイントは?
食事の面からコンディションを整えていくためには、自分自身が摂らなければいけない適正量・適切な栄養を把握し、その中から選択する事が大切です!
①現状把握をする
コンディショニングを行う上で自分の身体の現状把握をすることがとても大切です。現状把握をするための基礎として、BMI・体組成・必要エネルギーの算出などが多く用いられます。
是非参考にして計算してみてください!⬇️
これらの計算を私たちトレーナーだけでなく、選手自身が行い、必要量を理解してもらいしっかり取れるように意識してもらう事が大切です!
②PFCバランスを考える
現状を把握した後はPFCバランスからどのようなものをどのくらいの量で摂取する必要があるのか考えます。
PFCバランスとはエネルギー源となる三大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)のエネルギーのバランスのことを言います。
先ほど計算したエネルギー必要量がわかると、その値からPFCの具体的な量をこの様に算出することが出来ます。⬇️
減量する方はPFCバランスのP(タンパク質)の割合を20〜25%に増やし、F・Cの量を減らした食事を行います。エネルギー量が足りていない方はC(炭水化物)を増やした食事を行います。
またその選手がどうなりたいのか、どんなプレーをしたいのかなど目的に応じてバランスを変化させていきます。
当たりに強くなりたいのか?判断力をつけたいのか?
このような選手の目指す方向によってバランスを選択していきましょう!
・当たりに強くなりたい:身体をつくるための食事を→タンパク質を増やす
・判断力をつけたい:エネルギー量を摂れる食事を→炭水化物を増やす
このように個々に応じてPFCバランスを変化させていきます!
ここで重要なのは摂取するものは変化させるけれど、摂取するエネルギー量は変えないことです!減量する際でも糖質を減らしすぎず最低量(1㎏あたり3g)は摂れるような食事にしましょう!
また、運動の強度や目的によっても摂取量が変化します。
〈糖質〉
リカバリーにはおにぎり一個分の糖質が目安です!
〈タンパク質〉
魚介類や肉類からのタンパク質は手のひら片手分で16〜20g摂取する事ができます。
是非日常生活でも参考にしてみてください!
食事は身体だけでなくメンタル面にも関わっているため、選手にプラスになるようなアドバイスができるようにしていきたいと感じました。また、選手の目的に応じて食事の選択が変わってくるため日々のコミュニケーションの取り方も大切だと感じました。
まとめ
ただこの栄養を摂った方が良いではなく、その選手がなぜコンディションが良くないのか、今後どんなプレーをしていきたいのか原因を見極め、選手に寄り添いながら食事を選択することが大切だと学びました。
女性トレーナーだからこそサポートできる部分がたくさんあると感じます。トレーナーも栄養の知識も身に付け、あらゆる方面から選手に信頼をしてもらえるよう頑張りましょう!
より良いよい選択を出来るようにするために、学生のうちから学ぶ環境に自ら参加し、選択肢を沢山増やしていきたいと思います。